ホピの予言のエッセンス

ホピの予言は、その全体を語るのに普通幾日もかかり、これまで何代もの人生にわたって徹底的に理解されてきている。
そのなかでも一番重要なポイントだけを、ここには短くまとめておいた。


 

生命(いのち)のバランス

生命の担い手として、わたしたちは自然のバランスに影響を与えている。偉大なる自然のサイクルに繁栄をもたらすか、それとも、大きな災難(わざわい)をこうむるかは、ひとえに、わたしたち自身が何をするかにかかっている。わたしたちの暮らしているこの世界は、つまり、わたしたちの行動様式のひとつの顕れにすぎないのだ。

自然界のバランスからのわたしたちの分離は、わたしたちが今現在どういう状態で存在しているかを浮きぼりにしている。かつてわたしたちは意のままに顕れたり、消えたりすることが出来た。けれども、わたしたち自身のごう慢さにより、わたしたちに与えられた この物を産みだす力(パワー)をいつのまにかあたりまえのものとして、いつしか創造主(クリエイター)の立てられた計画を無視するよう になった。

その結果、わたしたちはこのからだ、物質のひとつの形に固執しはじめ、いつしか自らの「賢いけれど無器用な」左半分と「器用で力(パワー)があるけれど賢くない」右半分との、果てしない戦いにまきこまれ、本来の目的を忘れてしまうはめにおちいった。

世界のサイクル

あきらかに自滅的な、この自然からの分離は、歴史の一切の流れをとおして、いくつもの世界を、これまでも支配してきている。自然のサイクルにともなって生活資源が消滅するたびに、わたしたちは自らの発明によって状況を改善しようと試みてきた。いかなる失敗であれ、それ以上の発明によって過ちを正すことが出来ると信じてここまできたのだ。

 あまりに頭がいいために、わたしたちのほとんどは本来の目的を見失ってしまい、自分が勝手に図面を引いた世界にどっぷりと呑みこまれていき、結局、宇宙の秩序そのものに逆らうようになって、生存の鍵を握るごく少数の人たちに対して、こころない敵になっていった。

これまでの世界のいくつかにおいて、大多数の人々はこうしてテクノロジーを進歩させてきた。なかには今のわたしたちにすら理解出来ないほどテクノロジーを進歩させたこともあったのだ。自然とそれに従う人々に対する冒涜は、ひどくバランスそのものを崩し、戦争、社会の崩壊、自然の大破局といったものを引き起こすことになっていった。

どちらの世界も、一瞬のうちに全滅するかもしれないという時にいたって、ここにひとつの小さな少数派のグループが残された。彼らはほとんど完ぺきなまでに永遠なる計画と共に生きており、その生き方のために、彼らは「ホピ」と呼ばれている。世界の最終段階が近づくに従って、彼らを世界の残りに従わせようと強いる外からの誘惑や強迫と同じように、ホピは自らの内にも、崩壊の兆しを見つけ出すことになっている。

わたしたちの今の世界

前の世界が破滅しなくてはならなくなったとき、わたしたちの共通の祖先たちは、奇跡的に今の世界に逃げのびてきたいくつかのグループのなかのひとつであるにもかかわらず、今ここに至って又、彼らは再び堕落に毒されつつある。しかしわたしたちが今日直面するこれらの危機の種は、もともとわたしたちが最初にこの世界に足を踏み入れた時に、すでに一緒についてきてしまったものだった。

今のこの世界に辿り着くと、わたしたちのご先祖様たちは、救世主(マーサウ)としてわたしたちの前に現れるグレイトスピリットに出会うために、それぞれ長い旅にでることになった。そのお方はこの大地とその上に生きるすべてのものの世話をすることになっていた。たとえいかに厳しい前兆がそれぞれの旅をばらばらにする必要があったとしても、あまりに乱れきったこのバランスをとりもどすために、かならずその日が来ることを彼らはあらかじめ見とおして、特別なパターンに従ったのだった。

本当の白い兄弟(ホワイトブラザー)

明るい顔色をしたホピのことは、今では「本当の白い兄弟(ホワイトブラザー)」として知られている。彼は一族のもとを離れ、遠く太陽の昇る方に向かって旅立っていった。その時彼はひとつの石板を携えていったのだ。その石板は、オライビとして知られる場所でマーサウと出会うことになった者たちが持っていたのと同じものだった。このオライビという今あるホピの村は、その時マーサウの指示に従って基盤が造られた。

だから今でもホピの人たちは、明るい肌の色をした人たちが東からやって来ることを確信している。その人たちが造り出す多くの物をホピはあらかじめ予言しており、それをちくいち古代より伝わる教えに照らし合わすことで、その時その時が今いかなるパターンの上にあるかを、彼らははっきりと認識出来る。そのパターンに照らし合わせて見ると、やって来る者が、頭のよさのなかに本来の目的を見失いつつある者たちであるかもしれないことは、あらかじめよく判っていたことだった。そうなるとこれは大変に危険なことなのだ。だからスピリチュアルな道の上をけっして離れることなく、本当の石板を携えてくるひとりの人間(ひと)のことを、ホピはこれまで、じっと捜し求めて来た。

スワスティカと太陽

数えきれないほどの世紀を通して、ホピは彼らの儀式のなかに前の世界のことを、われわれが今の世界にやって来た時のことを、そして、われわれが一体なんの目的のためにこの世界にやってきたのかを、常に呼びさましてきた。ことあるごとに彼らは、シンプルで謙虚な生き方を進んですることで、マーサウへの誓いを新たにし、すべての生きとし生けるもののために、自然のバランスをこれまで守り続けてきた。この世界で起こりつつある出来事は、今がどのような時であるかを常に見守ってきたごく一部の秘密の宗教家グループの間で、これまで語りつがれてきた。

彼ら指導者(リーダー)たちはこれまで、世界を揺るがすことになる特に三つの出来事に注目してきた。それら三つの出来事のなかに、天候異変や地震、土地を失う人たち、そして戦争と言った地球を揺り動かす天変地異の種の発芽から、あらゆる生命を統一する根本的な力の登場を明らかに告げているシンボルを、彼らは見たのだ。

そのシンボルを解く鍵は、われわれの楽器である瓢箪(ひょうたん)のガラガラにあった。ガラガラそのものは力の種の事を意味しており、特定の儀式のなかでそのガラガラを振り鳴らすことは、だから、生きる力の躍動を表していた。ガラガラの上には古代からのシンボルである鍵十字(スワスティカ)が描かれてあった。ひとつの種から四つの方向に向かって発芽し、渦巻き状に広がりつつある種の力を鍵十字(スワスティカ)は指し示し、その全体をまるく取り囲んでいる赤い火の輪は、中心の種を発芽させて大きく育てるためにジワジワと射し込みつつある太陽の熱の暖かさを表している。

かくして世界を揺るがした最初の二つの大事件は、鍵十字(スワスティカ)と太陽によって象徴される二つの力を巻き込むこととなった。最初の暴力と破壊のなかから、さらに大きな次の二番目の出来事を引き起こすもっとも強力な要因がもたらされた。現実のシンボルがふたつ出現して、予言のこの段階が遂行されたことがやがて明らかになったのだ。

灰のぎっしりつまったヒョウタン

とうとう「灰のぎっしりつまったヒョウタン」が発明されることになった。それが空から落ちたあかつきには、海は煮えたぎり、大地は焼けただれ、何年もの間そこには何ひとつ育たなくなるだろう。これはある種のホピの人たちにもたらされた合図のひとつかもしれなかった。教えを広め、世界に警告をしなくてはならなくなったのだ。もし、自分自らを正し、時にかなった指導者(リーダー)を選ぶ事が出来なければ、全生命が破滅してしまうかもしれない第三の、そして決定的な最後の事件がすぐそこまで差し迫りつつあるようなのだ。

ここに表された最初の二つの事件が、第一次と第二次のふたつの世界大戦であったと、ホピの指導者(リーダー)たちは今では信じている。「灰のぎっしりつまったヒョウタン」とは、原子爆弾のことだった。ヒロシマとナガサキに原爆が落とされた後、それまで密かに守られてきた教えのいくつかが比較検討され、世界に向かって公開されることとなったのだ。

ここに記されてあるのは、それらの教えの一部である。

浄化の日

最終の段階のことは「偉大なる浄化の日」と呼ばれている。これも又、その内側に鍵十字(スワスティカ)と太陽の二つの力、および三つめの、赤の色に象徴される力を合わせ持つ「神秘の卵(ミステリアス・エッグ)」として、これまで描かれてきた。これら三つの力がそれぞれ極をきわめたとき、ものみな全てことごとくがよみがえるのか、はたまた一切ことごとくが滅び去ってしまうのか、わたしたちにはまだ、その答えを知ることが出来ない。復活か滅亡か、それらを選ぶのはほかならぬわたしたちなのである。戦争や、さらには天変地異までもが起こるだろう。自然のバランスと人間の世界との不均衡の度合いに応じて、暴力の程度は決定されるはずだ。このような危機の時においては、金持ちもまた貧乏人も、平等に、生存のための戦いに加わらざるをえなくなる。

伝統的だとされるホピの人たちのなかにすら、今日のように暴力を当たり前のものだと考える者が圧倒的に多いことからみても、それは大変な争いになることが予想される。しかし、人間(ひと)は、自然や同じ仲間たちの取り扱い方を正すことで、あらかじめその時の暴力の度合いをかなり減らす事が出来るはずだ。太古より伝わる精神的(スピリチュアル)なものを基盤にしたところの共同体、例えばホピのそれの様なものは、特に念をいれて守られるべきである。彼らがうやうやしく頭を下げて守り続けてきた、賢い人間(ひと)として生きるための道や自然を、無理矢理あきらめさせるようなことがあってはならない。

人間の運命

ホピは、人間という種族の生存の鍵を握っている。彼らが見えざる力(複数)との生き生きとした霊的交流をとおして自然のバランスを保ってきたのは、人間の造り出した自滅するだけのシステムに変わる、実際に効果のあるやり方、オルタナティブを例示するためと、世界で起こることの全責任をそこで引き受けるためである。この構造は単純なのだ。「全世界がやがて激しく揺れ動き、そして赤く染まり、ホピを邪魔する者たちに背を向けるようになる」というだけのことである。

人間の造ったシステムが現在ホピを駆逐しようとしていることと、この世界中で同じような神聖なものに対する冒涜が蔓延していることとは、深い繋がりがある。いくつもの予言のなかに記されたこうした壊滅的な大逆転は、単に自然の秩序の一部分にすぎない。今あるシステムによってお金をしこたま儲けている人たちが、そのお金と法律によって、ホピの破壊を止めさせることが出来たなら、その時には浄化の日に、たくさんのものたちが生き延びることも可能となり、新しい平安(ピース)の時代がそれに続くだろう。だが、しかし、もし誰ももはやホピの道を歩き続ける者がいなくなるようなことにでもなれば、そのような時代を望んだところでなんの意味もない。

わたしたちが立ち向かわねばならない力は、それぞれが恐るべきものだ。しかし立ち向かわなければ、残るただひとつの道は滅亡だけである。今もって人間の造り出したシステムがなんとしても正されようとしないのは、そのシステムそのものが一人の人間の意志を他の者に押し付けることで成り立っているためであり、問題の源もまさにここにある。もし人々が自らを、さらにその指導者(リーダー)たちを正そうとするなら、その両者の間の広い隔たりが消えてなくならなくてはならない。それを成し遂げるためには、人間(ひと)はひたすら本当のこと、ただ そのことのみに向かう気(エネルギー)の流れだけを信頼すれば良いのである。

このようなやり方は、ホピのウェイ・オブ・ライフ、ホピとして生きる道の基礎であり、死すべき運命にある人間が直面しうる最も偉大なる挑戦でもある。この生き方を受け入れる人は少ないかもしれない。だが、ひとたびこの基盤の上に平和が確立されるならば、そうしてわたしたちに初めから伝わる人生の道(ウェイ・オブ・ライフみち)、この生き方を盛り立てていくことが出来るなら、人間(ひと)は自らの発明の能力を賢く使うことが出来るようになるだろう。恐れ、脅えの人生ではなく、互いに励まし合うようになるはずだ。他人の犠牲の上に立ってごく少数の者が利益を得るよりは、全員が潤うようになるだろう。こうした、人間の個人的な関心事を遙かに越えたところで、一切の生命あるものたちにとってさえも、未だかつていちどたりとも実現されたことがないほどの大きな幸せが訪れる。かくしてすべて生きてあるものたちは、調和の内にいつまでも栄えるようになるのだ。


この「ホピの予言」のエッセンスはトーマス・V・ターベッ ト,ジュニア(Thomas V. Tarbet, Jr.,)が文章化し、ひとりのある伝統的なメッセンジャーの検閲を受けています。

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もしあなたが個人的な繁栄よりも、未来の世代がどうなっていくかということに、ひとかたならぬ関心をお持ちであるなら、どうか、ホピの道を生存させるということを常に頭の隅にいれておいてください。そして、工業化した世界によってもたらされたホピの人々の窮状を、あなたの個人的な責任と、最大なる喜びを持ちつつ、なにとぞ良い方向で解決させてください。


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