特集・〈いのち〉の声をきく

未来へ続く道

「ホピの予言」に私を導いたもの   宮田雪

 (四)

 藤井日逹 暴力文明はアフリカに集中し完成されています。ソ連も競ってこれを争っていますが、しかし、誰の目から見ても共にいきづまっています。このままでは両方とも減亡する以外に道がないことがわかり始めてきたようです。どうすれば人類がこの地上に安らかに暮らしていくことが出来るのかという問題を考え始めるでしょう。こうしたときに、インディアンたち、特にホピ族の先祖伝来の考え方、宗教的な伝統というものが初めて現代文明の表面に現われてこなければならなくなったようであります。アメリカの政府がこれまでインディアンに対して行なってきた暴力的な政策や強要を改めさせ、インディアンの平和な伝統である、人を殺さない、物を施していくという考え方を復活させなければなりません。これも、ただ政策とか経済とかの面を変えるのではいけない。ここに日常生活が祈りの信念から離れないホピ族初めインディアンたちの存在と力が大きく認められます。「ホピ平和宣言」を拝読いたしました。これはまことにさん然たる、光り輝く立派な現代の指導教科書であります。ホピ族の長い間の歴史、暴力に対する徹底した非暴力の伝統がいよいよ実証され、将来の世界平和を作る上の模範となるべきときであります。

トーマス グルジーのお話しをうかがっておりまして、わたしは同じホピ族の祖先で百歳近くまで生きた偉大なる指導者だったユキウマのことを思い出します。ユキウマの生涯はまるでガンディのようでした。その徹底した非暴力のためにアルカトラス島に投獄され、足を鉄の玉で縛られ餓死寸前の状態まで弾圧を受けました。しかし、彼は最後まで決して信仰を捨てませんでした。生涯質素な生活を送り、偉大なる精霊、グレイトスピリットの精神的指示に従って生活してきたのです。ユキウマのこの生き方をわたしたちは伝統として守り、そのため後に兵役を拒否したわたしたちの何人かがやはり投獄されました。数え切れないほどの白人たちの弾圧や彼らがわたしたちの民に仕掛けた陰謀、そのために起こった憎悪や誤解、混乱にもかかわらず、わたしたちが今日まで非暴力の教えを守ってこれたのは、偉大なる精霊、グレイトスピリットから伝えられてきた予言や啓示、伝統的な宗教儀式というものを保ち続けてきたからです。この予言にはただいまグルジーがお話しされた通り、暴力文明が間もなくいきづまりを告げることが啓示として記されております。また、未来のことも記されております。わたしはこの予言を世界の人たちに伝えることで、わたしたちの教えや宗教を通じ、互いのいのちあるものの調和、自然のすべて、雲、雨、動物、植物との調和のとれた平和な生き方を理解し合うことが出来ると信じています。そして共に理解し合うことでわたしたちが予言のなかで「浄化の日」と呼んでいるその日に敢然と立ち向かうことが出来るでしょう。私たちはその日のためにこそ宗教と平和な生き方をグレイトスピリットから授けられたのです。

藤井日達 仏教のなかでも南無妙法蓮華経を初めて唱えいだされましたのは、日本の日蓮大上人様であります。この方の宗旨の建前がもっぱら、仏さまのお経、仏さまによる予言を信じて、国難を避けようという方針でした。それで、そのときの政府に諫言をなさったのです。けれども予言などというものは当たってみなければ皆分かりませんから、空なことを言って人をまどわすといってそのために日蓮大上人様は島流しになりました。けれども終生、その自らの信念を変えずに諫められました。その後およそ二十年たって蒙古の大軍が日本を襲ってきました。これは将来とも仏さまのお経に照らし現実の世の誤りを見て正さなければならない。天変地異、飢きん、疫病、大雨、地震、日月の変動、これらをお経文から検討されまして日蓮大上人様は日本国の将来を予言されたのです。今、ホピ族の予言の話をお聞きし、未来記を信じられるその生き方とはなはだよく似ております。日本の仏教の中にはほとんど予言を信じるなどというのは他にありません。涅槃や、わが心、身体の行ないを規則正しく暮らす道を説くのが仏教のように考えます。それも良いけれども、大きい問題はやはり天地そのもの、人間そのもののなかにあります。これを仏さまのお説きになったお経文を頼りに見出します。ホピ族は、祖先伝来この予言という宗教的な意味において世界というものを眺められましたが、今、それがようやく現実となった。そしてそれを皆信じていくところに精神生活が営まれるわけです。

トーマス わたしたちは、偉大なる精霊の啓示に従い訪れるどんな人々も歓迎し、自分たちを犠牲にしても持っているものを相手に捧げ彼らの生活が楽しめるようにという伝統を守ってきました。それは今も変わっておりませんが、この事実は残念ながら認識されておりません。なぜなら、人々はより豊かに物質的利益を得ることに血眼になっているからです。そしてこの物質的欲求は今日、権力、 さらには核兵器の製造、エネルギーの乱用にまで及び、わが民を初め世界のスピリチュアルな指導者たちの上に大きな圧力をかけていると思います。

藤井日達 軍備をやめる、暴力を止めるにはどうすればいいか、それが現代の問題になりましたが、軍備をするということは、相手方を疑うから、相手を恐れるから、それで軍備をするようになります。では軍備を全部撤廃していく次の世界の安全はどうしたら保証されるか。それは人を疑わず、信じ、恐れないことの条件がしだいと育てられれば世界に軍備など必要なくなります。その手本がアメリカのインディアンと西洋から入ってきた移民たちの間で示されました。インディアンの今までとった態度が、移民たちを信じ、恐れずに招き入れた。そのことをよいことに暴力をふるってインディアンを殺した。これが現代文明のいきづまりのもとになりました。それでここでインディアンの文明が将来のアメリカの文明にとって代わります。宗教文明、人を疑わず、恐れず大いなる天地の法則、大いなる魂の力がこれを導いていくことを信じていかねばなりません。これがホピ族はじめインディアンの大きな役目であり、人類の助かるただひとつの道のようであります。

卜ーマス わたしたちの祖先もグルジーが現在おっしゃられたことに気づいていました。祖先たちもすでに今日のような時代がくることに気づき、この日のためにこそホピの伝統的な生き方と予言を保ち、辛抱強く世界の人々が精神的なものに目覚めるのを待っていたのです。今こそわたしたちは共にひとつにならなければならないでしょう。ひとつになってその力を結集しなければ生存していけない時がまいりました。ときを急がなければならないと思います。ときの流れを見ますと、世界中の指導者たちはいのちを破壊することを競っております。ぜひ精神的な生き方を統一しなければこの力を押しとどめることは出来ないでしょう。

 

→『未来へ続く道』(五)へ続く